
従業員が一丸となって
「管理のDX」と「モノを作るDX」を両面から社内のDXを推進!

山梨県内で一番最初にDX認定※を取得した株式会社ササキ。
先代社長からの代替わりをきっかけに、現社長が覚悟を決め、DX(デジタルトランスフォーメーション)に踏み切りました。「管理のDX」と「モノを作るDX」を両面から推進し、加えて従業員が自ら会社の変革にチャレンジ・実行できる環境を整えております。
そんな県内有数のDX推進企業である株式会社ササキ 佐々木社長に、DX推進内容や経緯、今後の取り組みについて伺いました。
※DX認定:IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が事務局を務める、「情報処理の促進に関する法律」に基づき、「デジタルガバナンス・コード」の基本的事項に対応する企業を国が認定する制度のこと
株式会社ササキ様

企業概要
東京エレクトロングループを主要取引先とし、ワイヤーハーネス製造、電子機器組立事業を展開。1995年8月に有限会社ササキとして設立し、確かな技術力により企業規模を拡大しております。
山梨県内で初めてのDX認定の取得や山梨産業大賞の経営革新部門受賞、山梨県商工会連合会モデル工場に認定されるなど、県内外からその取組みが注目されている企業です。
また、産業機器分野(半導体製造装置)を中心に、航空・宇宙・防衛分野、自動車R&D分野(レース関係)、理学機器分野を新たな事業分野として挑戦しております。
事例詳細:取り組み内容インタビュー
――DX推進の取り組み内容について教えてください。
佐々木社長:実は「管理する」というところに関しては、だいぶ前から、ITのソフトウェア導入や外部のソフトウェアと連携するなど、DXという分野については、長期に渡り取組みをしております。
現在は今までの取組みを更に進化させて、「モノを作る」というところまでDXを進めております。

代表取締役
佐々木 啓二 氏
――管理のDXを進められた背景を教えてください。
佐々木社長:10数年前から半導体が盛り上がっていったこともあり、取引先からの受注が一気に増えた時期がありました。とても人の目や手作業では対応できない状況になり、現場からも悲鳴が上がる状態でした。
当時は部署ごとにAccessで組まれた工程管理システムが独立して存在していて、見積もりを作ったらファイル共有をして次の工程に進めるなど、各工程が分断されており非常に手間がかかっていました。
そのような状態のなか、社内では、部門間(各工程間)を跨いだ工程管理のシステムを導入するか検討することになったのですが、ケーブルを作る工程に特化したシステムは世の中になく、自分たちで作るしかないという話になりました。おそらく現在も世の中にないと思います。
その当時、株式会社ワイ・シー・シーさんにお手伝いを頂き、約1年くらいの期間をかけて、工程を細かく分析、分解しながらつくりあげました。
独自のシステムをつくるにあたり、一番重要なポイントは、各従業員が実際に実施している日頃のオぺレーションを全てヒアリングし、「なんかこれおかしいですよね」など意見を伝えながら、ブラッシュアップしたことです。そのような対応をひとつづつ積み重ねることにより、各従業員が「自分たちでこのシステムを作った」という意識が強くなりました。
もともと協力的な人材が多かったということもありますが、「これで仕事がやりやすくなる」という明るい兆しが見えたからこそ、従業員は忙しい中でもヒアリングの時間を作ってくれたのだと思います。

――実際に管理のDXを進められて、効果はありましたか?
佐々木社長:現在、数十億の売上を維持し更に発展させていくためには、このシステムがないと絶対に無理だと思っております。
また、当時は世の中にDXという言葉はまだ浸透していませんでしたが、大手の取引先もどんどん先進的な取り組みを進められていくなかで、このままだと取引先からも選ばれなくなるという危機感もありました。
現在、EDIや図面などあらゆるやり取りがWEB上で実施されている状況をみると、以前から進めていることは間違いがなかったと思えますし、当時取り組みをしていなかったら取り残されていたと感じています。
――実際に管理のDXを進められて、効果はありましたか?
佐々木社長:新工場を造って、トヨタさんの自動倉庫システムを導入しました。
910パレットを縦に高く積み重ねて、ロボットが指示した在庫をとってきてくれるシステムです。棚位置の管理、ケーブルを切った分を減算して管理もしてくれます。ロボットが500キロのケーブルを移動して倉庫に積み上げてくれるので、壁面全部を自動倉庫化することができ、在庫を多く抱えることができるようになりました。この在庫を適正数量抱えることが出来るようになったことも実はかなり大きなポイントで、大手の取引先からはBCP対策として、宮城県か山梨県の工場が被災した想定でも、同じ業務ができることを求めており、結果として取引先からも信頼を獲得することが出来ました。
自動倉庫を導入したことで、横に在庫を置くと大きな面積が必要だったところが、縦に積めば空間を3次元に有効活用できることに気づき、それを実現するにはロボットの力が必要だなと実感しました。製造業はロボットの活用は今後大きなテーマになると考えており、そのプロトタイプを今回のモノを作るDXで経験できたことも大きな追い風となっています。加えて、在庫管理のシステムと連動することで、倉庫にあるケーブルをどれくらい切断したか残量の情報もわかるようになりました。それらを実現できたのも、前段の管理のDXが進んでいたことが大きかったと感じています。


――今後の展望はありますか。
佐々木社長:まだまだやることは山ほどあると考えています。例えば、弊社は多品種少量のモノづくりをしているため、図面だけでも30万枚を保有しています。図面の管理もシステム上でやっているが、実際はExcel上が楽に管理できるんじゃないかとか、「どうシンプルに使いやすくしていくか」についても考えていく必要があります。また、見積もり作成時、ケーブルを作る為の必要な部品の構成を登録する際、在庫の量や工具の有無が全て連動しているなど、「必要な項目を入れたら自動で仮見積もりをしてくれる仕組み」を作っていきたいと考えています。今は人の手で工数を積み上げている為、まだまだ効率化出来る部分はあると思っております。
また、大手の製造業の知恵を借りていきたいと考えています。弊社のやりたいことは大体、大手企業は実現しているんですよね。
製造業のエンジニアを紹介してくれるサイトがあり、大手企業の方からアドバイスをもらうことができます。実際に大手企業が使用しているパッケージを流用してもらいシステムを組むこともしております。
――これからDXを進めようとしている企業の皆様へメッセージをお願いします。
佐々木社長:弊社はシステムの投資に数千万円をかけましたが、これを数千万円もかかると思うのか、それとも今後10年が楽になる必要な投資と思うのか、そこの違いが大きいと思います。DXを始めると、こんなに良くなりました。楽になりましたというのはみんな実感するはずだと思います。実感すると、人間ってもっと使い勝手よくしたり、楽したがるじゃないですか。
あんな機能が欲しい、という声が自然とあがってくるようになって、DXに対する目線が変わってきます。やはり、始まりが一番大事です。
そして、自分たちがやりたいことは、世の中にソフトウェアやシステムが用意されていることがほとんどです。どんな機能が必要かということを考えて、世の中にある使えるものは組み合わせて使用することが重要だと思っております。
あとがき 山梨DX推進支援コミュニティ事務局
顧客からの信頼を勝ち取り、選ばれ続ける企業となるためにDXを推進している点が非常に印象に残りました。 DXはIT化・デジタル化と混同されがちですが、その本質は「顧客志向に立った(顧客の提供価値のための)事業変革」であると当コミュニティでは考えています。まさにDXの本質を実践されている姿をインタビューで垣間見ることが出来ました。
また、社内におけるDX推進体制、従業員の皆様の前向きなマインドも理想的と感じました。従業員が変革の声をあげ、主体となって進めていく。それに対し経営層は決意を持って投資の判断する。この好循環を作り上げた佐々木社長の取り組みが少しでも伝わると幸いです。当コミュニティにも、「社内のマインドを変えたい」というご相談を多くいただきます。社員のマインドを変える研修プログラム等、お手伝いできることを揃えておりますので、ぜひお悩みの企業様はご相談ください。
山梨DX推進支援コミュニティ:小林和貴
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*文中に記載の組織名・所属・肩書き・取材内容などは、全て2023年3月時点(インタビュー時点)のものです。
*上記事例はあくまでも一例であり、すべてのお客さまについて同様の効果があることを保証するものではありません。