山梨DX推進支援コミュニティ9月期イベントレポート

イベント概要

イベント「株式会社ササキの工場見学から学ぶDX」を開催しました。

開催日時・開催場所

日時:2023年9月21日(木)14:00~16:00
場所:株式会社ササキ山梨本部(山梨県韮崎市穂坂町宮久保1155-1)

イベント開催の目的

「DXってなにから進めればよいの?」「DXって経営に関係あるの?」等、多くの企業様においてお悩みや課題を抱えられていると思います。
まずは身近な企業がどんな取り組みを進めているのか気になるのではないでしょうか。
本イベントでは、県内で積極的にDXを推進されている株式会社ササキ様(ワイヤーハーネス製造)の工場見学を通じ、「DXの進め方・考え方」を体感していただくイベントを開催いたしました。

参加企業様一覧)

会員企業様(順不同)

株式会社はくばく様(2名) 山梨ユニホーム株式会社様(2名) 
株式会社昭栄精機様(1名) オオタ総合食品株式会社様(1名) 
株式会社塩山製作所様(2名) 勝沼CATV株式会社様(1名) 
富士通アイ・ネットワークシステムズ株式会社様(2名)山梨県庁様(2名)
株式会社グットウェイ様(1名) 株式会社エンウィット様(1名)

構成員企業(順不同)
株式会社山梨中央銀行      株式会社ウインテックコミュニケーションズ   甲府商工会議所
山梨県法人会連合会   株式会社ワイ・シー・シー
NTT東日本 山梨支店   株式会社NTT DXパートナー

イベント内容

<第一部>佐々木社長からDX取り組みについてのご紹介 14:00~14:40
第一部では、会員企業であり、ワイヤーハーネス製造や電子機器組立などの製造業を営まれており、山梨県内企業初のDX認定企業である株式会社ササキ・佐々木社長から自社のDX取り組みについてご紹介いただきました。

(※マイクを持ち自社のデジタル化・DXの取り組みを話す佐々木社長)

講演では、昨年誕生した新工場のご紹介を中心に、株式会社ササキが描いているDXについて、またどのようにDXへ挑戦するのかなどについてお話をいただきました。佐々木社長のDX推進へのモチベーションが非常高く、社員が追随してDXについて考えている姿が印象的でした。

株式会社ササキが新工場のコンセプトとして「山に囲まれたロケーションを生かした工場。仕事の中に“いろどり”を、社員の心に“いろどり”」をテーマに5つのポイントとして、

#見せる/見せられる/見てもらう
 あらゆる場所をスケルトンとすることで、人から見られることによる生産性向上を目指す。

#ロケーションを生かす
 自然豊かなロケーションを生かし、緑を眺めることで社員のリフレッシュを促す。

#最新のオフィス環境
 最新ベンチャー企業にも負けないオフィスを作ることで、社員のモチベーション向上

#人にやさしい工場・環境
 バリアフリー化・女性/若手の意見を取り入れることによる社員満足度の向上

#DXの徹底と自動
 あらゆるデータの連携させることで業務の効率化を図る

を挙げられていました。
佐々木社長が特に重視したポイントは、
「ロボット工場を目指しているわけではない。あらゆる資材をデータ化して自動化する」
「明日工場に出社したいと感じる工場にする」という2点で、従業員の仕事のしやすさ、モチベーション向上にとても重きを置かれていました。工場のDX化というとロボットで製造工程を全自動化するイメージをお持ちの方も多いかと思います。しかし株式会社ササキでは、手作業でしかできない作業に集中させ、クオリティを高めるためにDX化を行っており、目的意識をしっかりと持ちメリハリをつけたDX化を行っていることが非常に参考になると感じました。

<第二部>株式会社ササキ山梨本部 工場見学 14:40~15:30第二部では、本イベントのメインセッションである株式会社ササキ山梨本部の最新工場を見学しました。

(工場入口)

(壁を無くし解放感のある工場内)

(製造工場とバックオフィスの間に壁はなく繋がっている)

一般的にイメージする工場は閉鎖的で内部が見えないよう壁に囲まれているような印象を持つことが多く、バックオフィス社員もそれぞれ別の部屋が用意されており、製造の現場にいるということを忘れてしまいがちだったそうです。
しかし、「株式会社ササキはものづくり屋、製造に携わる人が主役」の精神も持ち続けるために、バックオフィスの社員も製造現場の社員と同じ目線で作業ができる環境にしたい。
という思いから製造工場とバックオフィスの壁を無くした新工場を建設したそうです。

(工場の至る所に設置されているサイネージ・かんばん)

工場内の紙掲示物をすべてやめ、掲示物をすべての「モニター・サイネージ・かんばん」で表示していました。
またササキのPCならばケーブルレスでPC画面を「モニター・サイネージ・かんばん」を表示することが出来るようになったため利便性が向上したそうです。

(ケーブル切断機)

上記のケーブル切断機ももちろんDX化されており、ケーブルの長さ、切断後の残量などを自動でデータ化しているため、今まで手作業で記録していたものが、効率的かつ正確なデータとして把握できるようになったそうです。

(新工場に導入したTOYOTA自動倉庫)

また今回の新工場の一つの目玉である自動倉庫は建物3階分に相当しそれまで平置きしていた資材を立体に保管しており、取り出したい資材をPCへ入力すると自動で搬出可能な倉庫です。この倉庫を導入したことにより作業スペースの拡充による業務効率化や安全性向上などの効果が得られたそうです。

(社員満足度向上に重きを置いた施設の説明をいただいている様子)

佐々木社長の講演内でもお話しいただいた通り、新工場は「明日工場に出社したいと感じる工場にする」というミッションのもとモチベーション向上にとても重きを置かれていました。
女性用トイレ・更衣室は実際に女性社員の意見を取り入れ大きな一枚鏡の設置やドレスルームの設置をされていました。また工場内作業現場すぐ横に社内ジムを設置することで、社員の健康促進やモチベーション向上に繋がっているそうです。このような施策の影響もあってか女性や若手従業員が非常に多く働かれていたことが印象的でした。

<第三部>質疑応答と佐々木啓二氏とのディスカッション 15:30~16:00

第三部では、実際に工場見学を行い、新工場やDX推進についての質疑応答と「DX/デジタル化の悩み」について、佐々木社長含め参加者で共有する座談会を開催しました。

質疑応答では佐々木社長に新工場を見学して浮かんだ率直な疑問点について多く質問がでました。

–ここから質疑応答についていくつか抜粋してご紹介させていただきます。–

DX推進の仕方・導入への苦労は?
 ・実際の現場に導入する際に社員からは現状変更を行うことに対する心理障壁があった。
 ・ある程度トップダウン的にDXを推進することで、社員の理解も徐々に得ることができる。

DXを社員が考えていても上長が認めてくれない・進まないことが多いが解決策は?
 ・意思決定者に作業単体のDX化ではなく業務DXの全体像を伝えることが重要で、投資の有用性をアピールすべき。

業務が多種多様であり業務手順をDX化することが難しいのだが良い方法はないか?
  ・SaaSなど現在提供されているソフトを1つ導入し、それに業務を合わせていくのが楽ではないかと考えている。


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上記の質問のほかにも予算や計画・実施期間など自社でDXを推進するイメージをもって質問をされている点が非常に印象的でした。

次にDXの悩みについて以下、4つのトークテーマを中心にディスカッションしました。

①DX推進における「意思決定(会社方針)」について

②DX推進における「進め方」について

③DX推進における「組織体制」について

④DX推進における「人材育成」について

~ここからは座談会中のお悩みやご意見をいくつか抜粋してご紹介させていただきます~

・DX推進について今まで社員の意見を聞いてより良いものにしたいと考えていたが中々進まなかった。
そのため佐々木社長の意見を聞き、トップダウンでDXを推進し、社員の意見を聞きながら改良していく方法が良いのではないかと思った。

・そもそもPCやタブレット入力ができない人もいるのでDXを推進して業務が滞らないかが心配・・・・

・DXを推進しようとは考えているが、じゃあ具体的にどこをどのようにDX化するのかはイメージが浮かばない

・現状が変わることをよく思わない層が一定程度は存在してしまうので、どのようにマインドチェンジさせるかが悩み

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参加者の皆様は少なからず共通のDX推進への課題をお持ちでした。特に、

・ベテラン層のDX推進へのマインドチェンジ

・DX推進にかける費用について

・DX推進を阻む要因をどのように取り除くか

・具体的にどの部分をDX化すればいいのか

これらの課題については座談会の中でも特に話題として挙がり、活発な意見交換が行われました。

確かに、DXを進めていかなければならないことは分かっているが、実際どの業務をDX化していけばいいのだろうとお悩みを持つ方も非常に多いのではないでしょうか。この点について佐々木社長がおっしゃられた「意思決定者に作業単体のDX化ではなく業務DXの全体像を伝えることが重要で、投資の有用性をアピールすべき。」というご意見が非常にポイントなのではないかと感じました。

参加者の声

今回のイベントでご講演いただいた佐々木様(株式会社ササキ)とご参加いただいた松坂様(塩山製作所)から今回のイベントの感想をいただきました。

株式会社ササキ 佐々木様

「実際に工場を見学いただくことで、参加いただいた皆さんにDXを推進すると業務が非常に楽になるということが少しでも伝わってくれたようで嬉しい。」

塩山製作所 松坂様

「ササキさんの工場は自分の会社と比べても非常にIT化が進んでおり、山梨県の工場だが東京の最先端オフィスにいるような感覚になり、自社でも取り入れたいと感じた。またすべての資材をデータ管理することによる業務効率化を肌で感じることが出来て非常に勉強になった。」

今後も山梨DX推進支援コミュニティでは、中小企業が抱えるDXに関する悩みの解決をお手伝いさせていただく、各種イベントを毎月開催する予定です。ぜひご参加ください。

今後のイベント予定

・第2回DX悩み人の集い
<開催概要>
日時 :2023年10月19日(木)14:00〜16:30
場所 :タケダストリートベース (甲府市武⽥2-9-4YC武田通ビル1階)

参加申し込みは以下にアクセス! https://yamanashi-dx.jp/event/dx_problem2/